脳と心と身体の一体治療BMB治療院(Brain Mind Body Relief)

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メニエール病とは

激しいめまい発作を中心とした症状がある内耳の疾患です。

耳の構造は、外側から外耳・中耳・内耳の3つの部位に分けられています。

その中でも一番奥にある内耳は、聴覚に関わる蝸牛(かぎゅう)とバランス感覚をつかさどる前庭や三半規管があり、リンパ液という液体で満たされた器官で成り立っています。

メニエール病は、何らかの原因でそのリンパ液が過剰にたまり「内耳リンパ水腫」となり、めまいなどの症状が起きる病気です。

耳の構造

耳の構造

内耳リンパ水腫とは

いわゆる水ぶくれが起きている状態だとされています。

水ぶくれによって、内耳にある聴力やバランス感覚に関係している蝸牛(かぎゅう)や三半規管などに、むくみを生じさせます。

すると、めまいや耳鳴りが起きると考えられています。

この内耳のリンパ液は、増えすぎると圧力で内耳が膨れ上がります。

さらに内圧が高まると内耳にある膜が破れてしまい、その結果めまい症状が起きるのです。

しかし、内リンパ液が外に流れて内圧が下がると、破れた膜がふさがるため症状がおさまります。

この一連の流れが繰り返される病気がメニエール病です。

メニエール病は、このようなめまいの症状を繰り返すたびに悪化する進行性の耳の疾患であるため、的確な診断としっかり治療を受けることが重要になります。

どのような症状か

メニエール病は、繰り返すめまい症状を中心として耳鳴りや吐き気などの症状も伴います。

受診される方の中には

「ぐるぐると視界が回るめまい」

「ふわふわしためまい」

「頭がぐわんぐわんと揺れる」

といった主訴が多く、めまいと言ってもタイプはさまざまです。

症状が出るタイミングも不規則で、いつめまいが起きるか分かりません。

また、めまい発作の回数や症状の持続時間なども個人差があります。


【①回転性のめまい】

ぐるぐる視界が回るような激しいめまい、発作は30分から数時間(まれに最長24時間)続く、発作の間隔や頻度は一定ではない。

【②耳鳴り、難聴】

初期の頃は発作前に耳がつまる感じや圧迫感があり、めまいが繰り返されていくと、キーンとした耳鳴り、難聴を伴う。

【③吐き気】

吐き気、冷や汗、動悸、嘔吐などの自律神経症を伴う。

この①②③の症状を繰り返すことで、さらに症状は悪化し、聴力の低下も出てきます。

まずは片側の耳から症状は起こりますが、悪化することでもう一方の耳にも発症するケースもあります。

メニエール病になりやすい人

メニエール病になりやすい人は、次のような方と考えられています。


30~50歳代

疲れやストレスをためやすい

慢性的な睡眠不足

気圧の変化が多い場所にいる方

几帳面な性格


また、女性ホルモンであるエストロゲンの影響があることがわかっており、女性の方が男性の2倍程度めまいがおこりやすいと言われています。

以前はメニエール病というと、「若い女性がストレスを抱えて、めまいを起こす病気」とイメージされていたのですが、社会環境の変化によりご高齢者や男性の方でもメニエール病を起こす方が増えています。

メニエール病になる原因として重要なことは、年齢関係なく「ストレスや疲れ、睡眠不足がある」ことです。

ストレスを感じやすく、うまく発散できない場合、メニエール病にかかりやすく繰り返しやすいと言われています。

メニエール病と突発性難聴の違い

メニエール病と突発性難聴の違い

メニエール病と突発性難聴

メニエール病は突発性難聴と症状が似ており、その見極めが難しい病気です。

メニエール病の場合、10分〜数時間ほどのめまいがありますが、突発性難聴の場合はめまいがある場合と全くない場合に分けられます。

 また、メニエール病はめまいと難聴の発作が繰り返し発生するのに対し、突発性難聴は繰り返しません。

メニエール病は低音から聞こえづらくなりますが、突発性難聴は突然の強い難聴に見舞われるのが特徴です。

きっかけは共通しており、ストレスや疲労などによって発症します。

メニエール病の診断と検査方法

メニエール病には厳密な診断基準があり、メニエール病と他の疾患を区別するためには、問診で「回転性めまい、片側の耳鳴り、難聴」というメニエール病の典型的な特徴があるか確認します。

とくに症状が繰り返されたり長時間めまいが起きていたりする場合は、メニエール病である可能性が高いです。

その上で、以下の様々な検査をおこない判断します。

①聴力検査(音叉で空気伝導・骨伝導の左右どちらに緊張があるか、反応しないかをみる検査)

②体のバランス感覚を調べる検査(目をとじて足踏みをする検査)

③眼振検査(眼球の動きをみる検査)

④内耳水ぶくれ検査(グリセロールテストで薬を服用し、聴力が改善するかどうかの検査)※④は病院で行う検査

このように十分な問診と詳しい検査を行い、メニエール病と他のめまいを起こす良性発作性頭位めまい症や突発性難聴などの区別や、他の病気の可能性を除外診断していきます。

メニエール病の一般的な治療

メニエール病のめまい症状が起きている間は、症状がおさまるまで横になり安静を保つことが大切です。

そして、症状の重さにより治療の方針が異なります。 

症状が比較的軽い場合は、めまいをおさえる薬や吐き気止め、ステロイド薬や抗不安薬などの内服治療を行います。

また、メニエール病の原因である内リンパ水腫という状態を軽減させるために、利尿薬やビタミン剤などの内服もします。 

症状が重い場合は、めまいや吐き気などの症状の応急処置として、注射や点滴により治療を行います。

なかなか治らないような難治性のメニエール病に対しては、耳の中にある鼓膜をとおして、内耳に薬を注入する治療や、内リンパ水腫を減らすための手術を行う場合があります。

メニエール病と心身症の関係

心身症とは、「さまざまな身体疾患のうち、発症や経過に心理的・社会的ストレスの影響で、機能的な障害を伴った症候群」とされています。

ストレスなどの精神的なことが原因となり、身体の病気が起きたり、前にある病気が悪化したりする状態です。

つまり、日常生活における一般的なストレスに加え、心理的な葛藤があることで心身症が起きやすいと言われています。 

心身症の主な症状には、頭痛や腹痛、手足の痛みなど、胃のもたれ感、吐き気、全身倦怠感が目立っています。

このような身体症状と原因となる疾患は密接に関係しており、一般的な治療ではなく心療内科での専門的な治療が必要になります。 

また、ご本人が心理的ストレスにより心身症を発症していることに気付かないケースもあります。

原因となる疾患にばかり目が行きがちですが、心療内科では「こころと身体の関係」への気づきを深めていくための治療を行います。

メニエール症状の再発を恐れることがストレスになることも

メニエール病は内耳の病気ではありますが、ストレスや疲れ、睡眠不足の蓄積も大きく関与していると考えられています。

そしてメニエール病と心身症は、密接に関わっています。 

もともとメニエール病で、繰り返すめまい症状や耳鳴り、吐き気を経験している方の場合、またいつ起こるか分からない症状に対して不安や恐怖心がストレスとなり、自律神経系に影響を与えてしまいます。

その結果、ストレスがかからなければ起きなかっためまいや耳鳴り、吐き気などの症状が現れることもあります。

これが心身症であり、心身症による症状がまたストレスとなり、自律神経系にさらなる不調を来すといった悪循環をまねくことにつながります。 

めまい発症への不安から心身症になり、その結果さらにめまいが強くなることで、それまで治療や安静によって落ち着いていたメニエール病の症状が再発・悪化する場合もあります。

脳と心と身体の一体治療で、このサイクルを断ち切ることがメニエール病と心身症の治療に最も重要であると言えるでしょう。

ストレスを完全になくすことは困難ですが、治療を受けると共に充分な睡眠や休息、適度な運動など日常生活に取り入れることが大切です。

メニエール病による心身症の予防と対策

メニエール病はストレスや疲れ、睡眠不足が原因でめまいが引き起こされやすいと分かっています。

直接命に関わらない病気であっても、進行性であるため難聴やバランス感覚の乱れの完治が難しくなり、心身症の発症を促すことにつながります。

めまいがいつ起こるか不安になり、そこから心身症を発症することにもつながるため、めまいに負けない気持ちを持つことが最も大切です。

簡単に治るわけではありませんが、繰り返すことをおさえて悪化を防ぐことは可能です。 

心身症の症状が強い場合は、メニエール病によるめまいや吐き気などの治療を続けながら、当院で、脳と心と身体の一体治療を行うことをおすすめします。

めまいと心身症の悪循環を断ち切ることで、どちらの症状も改善することが期待できます。諦めずに治療を継続していきましょう。 

山元美代子
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